介護が必要になる前の準備について
介護が必要になる前に準備しておきたいことをお話しします。それは「自分史」を書くことです。家族の歴史などのほか、若い頃に好きだった歌や、ダンスをしていたなど、若い頃に好きだったことを書くのが良いと言われています。若い頃に好きだった歌やダンスで、脳に焼き付いていた体験が思い出されると認知症が回復するとも言われています。そうしたことを自分史に書いておくと、将来介護を受ける際に、家族がその情報を活かして奇跡の回復を起こしてくれるかもしれません。
みなさんは「終活フェア」をいう言葉を聞いたことがあるでしょうか。大手葬儀屋さんが、お墓やお寺などの葬儀に関する展示会や、勉強会を行うイベントのことです。私はまだ行ったことはないのですが、その中で行列ができる出展として、お棺の中に入る体験コーナーが非常に人気だそうです。入った方の感想によると、あの世には本当に何も持って行けないことを実感できたと書いてあり、なるほど!と思いました。私は「人生の勝ち組」とは棺桶にガッツポーズをして入れる人が勝ち組だと思っていますので、「終活フェア」でお棺に入ってみることで、人生でやり残したことを改めて発見し、介護が必要になる前にそれを実践することで「人生の勝ち組」に近づくのではないかと思っています。
また、実際に介護のサービスを受ける時、どこの市区町村が高齢者に優しい施策を充実化させているか気になって、事前に調べてみることがあるかもしれません。そうした場合は、自分だけの力で調べることはとても難しいことが分かります。それぞれの市区町村が行っている介護保険に係る施策に関して、国で決められた法律に基づく「法定受託事務」以外にどこまで独自サービスとして提供しているかは地域住民から見えにくくなっているのが実情だと思います。したがって、介護が必要になる前に自ら何かの地域活動を行いながら、要介護者や認知症の方々に対してサービスを行っている専門職の方や、ボランティア、NPO法人の方に直接聞いて、どこの市区町村の取組みがどのように熱心で、自分の生活状況に合っているのか確認できると思います。例えば東京でもいろいろな地区で介護に関するシンポジウムなどが開催されていて、先進的な介護サービスや高齢者見守りを行っているNPO法人の方々がご講演されていますので、そういう方と面識を持つと、高齢者サービスに熱心な地域についての情報が得られると思います。
