講演録 2
「日本の子どもは幸せか
~海外の子ども関連施策の動向~
主任研究員 池本 美香 氏
質疑応答
質問1
私は5歳と4歳の子どもを育てていますが、池本さんご自身は先輩ママとして2人のお子さんをどのように育てていらっしゃいますか。実践されていることがあればその具体的な内容をお聞きしたいです。
池本ご質問ありがとうございます。私は子どもを学校に通わせている中で、びっくりするようなことがたくさんありました。それで、海外はどうなんだろうと調べたら、日本と海外の違いやその問題点が見えてきました。学校では不思議なことがいろいろあります。例えば、学校のお便りの中に、体操着の下に下着を着てはいけないという決まりがあり、私は「本当?」と思って、娘経由で担任の先生に確認したところ、先生からは自分の判断で着てよいですと言っていただきました。先生がたも悪気はないと思います。これまで同じルールや方法でずっと教育してこられて、時代に合わなくなったことがあっても気づけなかっただけのことだと思います。日本で私のように行動するとモンスターペアレントと言われがちですが、それをフランスの研究をしている方に話したところ「だったらフランスのお母さん全員モンスターですよ」と仰っていました。海外では親が保育園などに意見を言うのは当たり前で、先生たちは教育の専門家として親の意見を聞いて対応するのが役割のひとつだそうです。親として感じていることはこれからも先生がたにきちんと伝えていきたいと思っていますし、そのためには一人でやるより、複数のさまざまな声を集めたりすることも必要と思います。私がやりたいと思っているのは、いつでも保育園や学校に親が入れるということを、親の権利として公的な機関がリリースあるいは声明を出してほしい。先ほどご紹介した、ニュージーランドの親向けのガイドブックと同じようなものを自治体で出せないかとも考えています。ありがとうございました。


日本総合研究所調査部主任研究員。1989年日本女子大学文学部英文学科卒業後、三井(現三井住友)銀行入行、三井銀(現日本)総合研究所出向を経て現職。博士(学術)(千葉大学)。子ども・女性に関する政策を中心に調査研究・提言等を行っている。主な著書に『失われる子育ての時間』、編著書に『子どもの放課後を考える』『親が参画する保育をつくる』(いずれも勁草書房)。現在、内閣府規制改革推進会議保育・雇用ワーキンググループ専門委員、厚生労働省社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会委員などを務める。