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日立財団スカラーズ・スポットライト

Thuy Phuong Thi Pham

Thuy Phuong Thi Pham

ベトナム科学技術アカデミー
Senior researcher, Department of Process Engineering and Catalysis,
Institute of Advanced Technology(former Institute of Chemical Technology)

2021年度 日立財団アジアイノベーションアワード「最優秀賞」受賞者

インタビュー

現在の活動について教えてください

現在、ベトナム科学技術アカデミーにおける重点研究プロジェクトの一環として、ケモ・バイオセンサーの開発に取り組んでいます。主な研究テーマは、生化学的酸素要求量(BOD)および水中毒性をモニタリングするためのバイオセンサー技術です。
溶存酸素の消費量に加え、CO生成量にも着目したバイオセンサーを設計しており、河川水、養殖排水、産業排水など、さまざまな水環境への応用が可能です。現在は、BODと毒性を同時に検出できるハードウェア・ソフトウェア統合型システムの開発を進めており、予測精度の向上を目的として機械学習アルゴリズムも活用しています。ベトナムの実環境で使用可能な、実用的かつ低コストな水質モニタリング技術の実現をめざしています。

奨学金や受賞がキャリアや人生に与えた影響について教えてください

日立財団アジアイノベーションアワード最優秀賞の受賞は、私の研究キャリアにおける大きな転機となりました。研究の可視性が高まり、学術コミュニティにおける評価や認知度の向上につながりました。
その結果、研究資金を獲得する機会が広がり、BOD測定および初期毒性警告を可能にする実用的なバイオセンサーシステムの開発を前進させることができました。また、この受賞は研究者としての自信とモチベーションを高めると同時に、SDGsに貢献する他分野の研究にも積極的に取り組むきっかけとなりました。

日立財団との関わりを通じて、研究やプロジェクトはどのように広がり、発展してきましたか

日立財団との関わりを通じて、私の研究は、単一のバイオセンサー試作機の開発から、BODと水中毒性を同時にモニタリングできる統合型システムの構築へと発展しました。
特に、非分散型赤外線(NDIR)COセンサーを組み込んだバイオリアクターを用いる新たなアプローチを開発し、毒性検出と微生物の成長段階をリアルタイムで把握することが可能になりました。ガス相中の微生物由来COを非侵襲的に検出する本手法は、従来の全細胞毒性バイオセンサーが抱えていた課題を克服し、リアルタイム性を大きく向上させています。

今後の目標を教えてください

今後は、河川水、養殖排水、産業排水といった多様な環境条件下での長期・リアルタイムモニタリングに向けて、システムの最適化と実証研究を進めていきたいと考えています。あわせて、機械学習技術のさらなる統合により、測定精度と信頼性の向上をめざします。

留学や研究中の印象的なエピソードはありますか

日本での最も印象深い経験の一つは、日立財団が主催する表彰式に参加したことです。最優秀賞受賞者をはじめ、さまざまな分野で活躍する研究者や、日本を代表する科学者が一堂に会し、意見交換を通じて新たな視点を得る貴重な機会となりました。
また、日立の最先端技術を紹介する展示を見学し、イノベーションが社会課題の解決にどのように貢献できるのかを実感しました。この経験は、研究成果を社会に還元する責任を改めて意識する契機となりました。

好きな日本の言葉・歌・場所などがあれば教えてください

2023年の表彰式に出席した際に訪れた「日立オリジンパーク」が、特に印象に残っています。技術的成果だけでなく、「社会に貢献する」という創業の理念が丁寧に紹介されており、創業当時の工房からグローバル企業へと発展した歩みを学ぶことができました。
この訪問を通じて、技術研究にとどまらず、その先にある社会的インパクトを常に意識することの重要性を再確認し、持続可能で意義ある研究への意欲が一層高まりました。

日立財団スカラーズへのメッセージ

社会に前向きな変化をもたらすという共通の志を持つ、Hitachi Global Foundation Scholarsコミュニティの一員であることを、心から誇りに思っています。複雑化する環境課題の解決には、モニタリング技術と処理技術の融合など、分野横断的なアプローチが不可欠です。
今後、分野や地域を越えてつながり、知見を共有する機会がさらに広がることを願っています。私たち一人ひとりの専門性を結集することで、より実践的で社会的意義の高いイノベーションを生み出せると信じています。

写真ギャラリー


ワークショップにて(2022年12月、ベトナム・カントー):
基調講演者および運営チームの集合写真


ワークショップにて:
NDIR技術によって測定したCO発生に基づく新規バイオセンシングシステムの操作を、研究チームメンバーに指導している様子


アワード表彰式にて(2023年1月、東京)


日立オリジンパーク訪問(2023年1月、茨城)


エビ養殖場へのフィールドトリップ(2026年4月、ベトナム)


エビ養殖場へのフィールドトリップ(2026年4月、ベトナム)


エビ養殖場へのフィールドトリップ(2026年4月、ベトナム)

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公益財団法人 日立財団「日立財団アジアイノベーションアワード」事務局
〒100-8220 東京都千代田区丸の内1-6-1

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